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インタビュー:香港M+のスハーニャ・ラフェル館長

スハーニャ・ラフェル Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority and M+, Hong Kong

 2016年の11月に、香港のM+(エム・プラス)がスリランカ出身の女性キュレーター、スハーニャ・ラフェルさんを2代目の館長として任命した。ラフェルさんは、1994年からキュレーターとして「Asia Pacific Triennial of Contemporary Art」に携わり、Queensland Art Gallery and Gallery of Modern Artのキュレーション及びコレクション担当の副総監を務めていた。2013年からオーストラリアのニューサウスウェールズ州立美術館副館長兼コレクション担当ディレクターを就任していた。アジア汎太平洋地域の現代美術のスペシャリストであるラフェルさんは、開催中のヨコハマトリエンナーレ2017の構想メンバーでもある。今回は来日したラフェルさんにM+の最新状況について、話しを伺った。

 香港の西九龍文化区で2019年にオープンする予定のM+は美術だけでなく、デザイン、ドラマ、パブリック・カルチャー、アーキテクチャなど、20世紀以後のヴィジュアル・カルチャーをフォーカスするミュージアムである。「美術館を企画する段階でリサーチを行い、香港の人々は現代美術だけではなく、現代水墨、デザイン、ドラマなど、様々な種類のミュージアムを欲しがっていることが分かりました。結果として、たくさんのミュージアムを作るのではなく、1つのミュージアムでたくさんのものを紹介することにしました。20世紀以来、世界、特にアジアにおいて、デザイン、アーキテクチャ、フィルム・カルチャー、デジタル、パフォーマンスなどの分野で、大きな動きがありました。M+はそれらを映りだそうとしています。とても長い道ですが、いいストーリー、重要なストーリーなんです」とラフェルさんが語った。

昨年9月にオープンしたM+ Pavilion。(画像Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority and M+, Hong Kong)

M+は、中国現代美術のビッグコレクターであるウリ・シックをはじめ、コレクター、企業などによる寄付を含め、6000点のコレクションを持っている。「コレクションの半分はコレクターや企業からの寄付です。私達はコレクションを積極的に増やしていますが、コンテンツや傾向性については非常に慎重です。香港は既にいくつのミュージアムがあり、それぞれ重要なコレクションを持っています。M+はそれらと重複しないことを意識しつつ、体系的にコレクションを作っています。我々は違う視点からビジュアル・カルチャーの文脈を語ろうと試みています。もちろん、M+のコレクションのコアも『香港』です。それに加え、中国本土、日本、韓国、東南アジアなどの地域との関連性を深めるものもコレクションしています。そして、香港の歴史や文化に関連する西洋の作品、アーカイブなども視野に入れております」とコレクションについて語った。

2019年のオープン展は厳選されるM+のコレクションを披露する。「キュレーター陣はどの作品をオープン展に出すか、すごく真剣に考えています。展覧会は、M+、そして香港にとって、とても重要なことなんです。私も今から色んな人と話し合い、メインプロジェクトの準備を進めています」と、M+の開館への期待は高い。

そして正式オープンする前にも、2015年に「ウリ・シックコレクション展」を皮切りに、コレクションを少しずつ公開している。10月13日からは美術館が所蔵する水墨のコレクションを紹介する「The Weight of Lightness: Ink Art at M+」が開催される。「水墨」は伝統的なアジアの書道と山水画を指すが、同展はそれを1つの制作手法ではなく、現代における美学の1つとして捉えている。

Lee Ufan (Korean, b. 1936), With Winds, 1991, oil and mineral pigment on canvas, 227 × 138 cm, M+, Hong Kong, ©Lee Ufan

今回は、王無邪、比田井南谷、ナム・ジュン・パイク、李禹煥、徐氷、郭孟浩、劉國松をはじめ、香港、中国本土、台湾、日本、韓国、インド、アメリカとスペインなど10以上の地域からの、42名のアーティストによる約60点を展示する。絵画、書道、インスタレーション、写真や映像など様々な手法で制作された作品を通しで、M+が収蔵している、既存の枠を超えた多様な「水墨」のコレクションを紹介する。

Wucius Wong (Hong Kong, b. China, 1936), Thoughts Across the Lands, 1970, ink and acrylic on paper, 183.6 × 95.2 cm, M+, Hong Kong, ©Wucius Wong

「今回の展覧会は『水墨』に対する既存の認識と枠を破ろうとしています。伝統という重い責任を背負ってる『水墨』ですが、それ自体はとても軽快で、洒脱な表現手法です。アーティストの持つイメージや冒険精神を充分に走らせ、無限な力を持っています」とラフェル館長が語った。

The Weight of Lightness: Ink Art at M+

会期:10月13日〜2018年1月14日

会場:M+ Pavilion

http://www.westkowloon.hk/en

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